製作工程

芭蕉布が出来上がるまでには20以上の工程が必要です。
その中で特筆すべきは糸作りの部分でしょう。芭蕉布を作るためには、まず畑を用意し糸芭蕉の苗を植え、3年待って伐採し、釜戸で数時間炊いて繊維をとり、一本の糸に紡ぐという工程が必須です。繊維を採る時期は冬の短い間だけですから1年分の繊維をその間に作らなければなりません。
繊維ができたら作りたい作品に合わせて糸にします(これは非常に根気のいる作業です)そうしてようやく糸が出来上がると、作品のイメージに合わせて染色して機(はた)にかけて織り始めるというわけです。
糸作りの苦労を考えると、織る作業はご褒美のようなものです。
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葉落とし
ハオトシ
若い糸芭蕉は、5月、7月、9月に葉を3枚だけ残してカットします。
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芯止め
シンドメ
葉落としと同じタイミングで、大きく成長した糸芭蕉の上部をカットします。150センチくらいを目安にします。
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苧倒し
ウータオシ
冬になると3年経過した糸芭蕉を伐採します。女性でも鎌で倒すことができます。
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苧剥ぎ
ウーハギ
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苧炊き
ウータキ
灰汁でph調節した水で炊きます。時期や温度、葉っぱの硬さによって炊く時間を調整します。
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水洗い
ミズアライ
炊き上がったウーは灰汁の影響が出ないように水洗いをします。
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苧引き
ウービキ
柔らかくなったウーをイービ(竹のハサミ)ではさみ不純物をこそぎ落とします。
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苧干し
ウーボシ
不純物を落とした繊維を日陰で乾かします。十分乾燥したウーは何年でも保存できます。
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チング巻き
チングマキ
ウー績みの際、水に浸しやすくする必要があるのでボール状のチングにします。
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苧績み
ウーウミ
湿らしたチングの繊維を作りたい布に必要な細さに裂いて糸を作っていきます。裂いた糸は機結び(ハタムスビ)で結んでいきます。
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撚りかけ
ヨリカケ
経糸は毛羽立ちを防ぐために撚りをかけます。糸の太さや撚りかけ機の大きさや腕の長さによって回数は変わります。緯糸はかけないこともあります。
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管巻き(緯糸)
クダマキ(ヨコイト)
緯糸は拠りをかけず(作品によっては少しかけることもある)管串(クダグシ)に巻いて繭のような形に整えます。
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染色
センショク
撚りをかけた糸を綛(カセ)にして染めます。当工房では主に地元の植物で染めています。黄色→福木、茶色→車輪梅、青→藍など
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糸繰り
イトクリ
綛(カセ)にして染めた糸を伸ばして枠に巻き取っていく作業。
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絣結び
カスリムスビ
絣模様のよって染めたくない部分をウバサガラーとビニールで防染します。
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絣解き
カスリトキ
染め上がった絣糸のビニールとウバサガラーを外します。
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整経
セイケイ
作りたい布に必要な糸の長さと本数を計算して整経台で経糸を作ります。
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仮筬通し
カリオサトオシ
整経した地糸や色糸をデザイン通りに並べていく作業
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巻取り
マキトリ
仮筬通しを終えた長い糸の輪を機にセットできるように巻き取っていく。糸の張りが一定になるよう注意が必要。
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綜絖通し
ソウコウオトシ
巻き取った糸を仮筬 (かりおさ) から外し、高機の上部にセットして上糸と下糸をそれぞれの綜絖に順序よく通していきます。
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筬通し
オサトオシ
綜絖(そうこう)に通した糸を一対ずつ順序よく筬に入れていく。
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製織
セイショク
芭蕉の糸は乾燥に弱いため、織る際は常に霧吹きで湿らせておく必要があります。年間を通しては雨の多い5月から6月が、また一日の中では暑さが和らぐ朝と夕方が、織り作業に適しています。
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